口腔内の予防治療
成人の歯の予防
「歯の予防」の基本は、病気が発症する前に対策をとることです。むし歯や歯周病は初期段階では痛みや自覚症状がほとんどないため、痛みが出たときには症状がかなり進行していることが少なくありません。
むし歯や歯周病を治療しても、その場の症状を改善するだけであり、根本的な原因が残っていれば再発する可能性も高く、将来的な歯の健康を十分に守れません。
定期的にお口の中をチェックし、ケアを行うことで、むし歯や歯周病の発病や再発を防ぐことが可能です。これが予防の基本です。症状が出る前に原因を取り除くことで、皆さんの大切な歯を健康な状態で保つことができます。
メインテナンス
これまでは、むし歯や歯周病などで悪くなった部分の治療が中心でしたが、これからの歯科治療では、口腔内全体の健康をどう維持するかが重要です。この考えに基づいて生まれたのが「歯と口の予防」です。80歳で20本の歯を保つことが目標とされ、歯科医師会でも推奨されています。
予防の中心となるのが「歯のクリーニング」です。毎日のブラッシングでは、どうしてもすべての汚れを落としきることができません。そうした場所に細菌が集まり、「バイオフィルム」と呼ばれる強固な膜を作ります。このバイオフィルムは、通常のブラッシングでは取り除けないため、専門の器具を使ったクリーニングが効果的です。これが「PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)」と呼ばれる、プロが行う徹底したクリーニングです。
このように、定期的なクリーニングを受けることで、むし歯や歯周病を防ぎ、健康な口腔環境を保つことができます。若いうちから定期的に歯科健診を受けている人は、お口の健康への意識や関心が高まり、歯の寿命が伸びると言われています。
予防の流れについて
お口の健康を維持するためには、2つの大切な柱があります。
- セルフケア(ホームケア):自分自身での管理、つまり日々のケアです
- プロフェッショナルケア:歯科医院で専門家による管理です
定期的なクリーニングや歯周病菌の除去など、この2つを継続することで初めてお口の健康を守ることができます。どちらかが欠けてしまうと効果は半減してしまいます。セルフケアはご自身でしかできませんが、健康に対する意識をしっかり持ち、努力することで大きなメリットを得ることができます。
私たちが行うメインテナンスの例:
- むし歯や歯周病の検査
- 定期的な口腔内チェック
- 歯みがきや食生活の指導
- 唾液やかみ合わせの検査
PMTC(プロフェッショナル・クリーニング)
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)は、専門家によるお口のクリーニングです。これにより、次のような効果が期待できます。
- むし歯や歯周病を予防できる
- 歯をきれいに保てる
- 歯の表面がツルツルになり、汚れが付きにくくなる
フッ素塗布
フッ素は、むし歯に強い歯を作る効果があります。定期的にフッ素を塗布することで歯質を強化し、市販の歯磨き剤よりも効果的に歯にフッ素を取り込むことができます。
口腔内およびカリエスチェック
お口全体の健康状態をチェックし、むし歯、歯周病、かみ合わせの異常などを確認します。また、カリエスチェックでは、唾液検査を通じてむし歯のかかりやすさや歯の抵抗力を調べます。
スケーリング(歯石・歯垢除去)
歯についた歯石をスケーラーという専用器具で除去します。歯石は歯周病の大きな原因の1つで、通常の歯磨きでは取れません。スケーリングで歯石を取り除くことで、歯周病になりにくい歯にします。
このように、セルフケアとプロフェッショナルケアを組み合わせることで、健康な歯を長く保つことができます。
オーラルフレイル予防について
加齢とともにお口の機能が低下していく状態を「オーラルフレイル」と呼びます。口は「食べる」という栄養を取り入れる大切な器官です。口の機能が低下すると、食べられる食品が減り、栄養摂取のバランスが悪くなってしまいます。そして、栄養不足が進むと、フレイル(健康と要介護状態の中間)や要介護状態へと進んでしまう可能性があります。
例えば、食事中によく食べこぼすようになったり、固いものが噛めなくなったり、むせることが増えたりすることがあります。また、滑舌が悪くなるなどの変化が現れることもあります。これらの症状が続く場合、それはオーラルフレイルの兆候かもしれません。
健やかで自立した生活を長く保つためには、オーラルフレイルに早く気づき、予防や改善に取り組むことが非常に重要です。
当院では口腔機能検査を行い適切なアドバイスを行い、より良い楽しい老後を過ごしていただけるようお手伝いをしていきます。